ドナウ川を挟んでブダとペストに分かれるブダペスト、
ペスト在住のわたしにとって、ブダは川向こうに広がる遠くの街。
距離的には決して遠くは無いのだけど、気がつくと一ヶ月以上
ブダに行っていない事も結構ふつうにある。
先週、用事がありトラムに乗ってドナウ川を超えた。
マムートと言う名の巨大なショッピングセンター、
その一角にセーナ・テーリ市場(Széna Téri Piac)がある。
ブダペスト市内にはいくつもの市場がある。
そして、そのほとんどが広場と呼ばれる場所に立つ。
この市場も直訳するとセーナ広場の市場、今は車とトラムが行き交う
大きな交差点だが、その昔は広場がありそこに市が立っていたのだろう。
ショッピングセンターが建設された際、市場もリニューアルされた。
その外観は近代的だが今でもブダの人々に愛される庶民的な市場だ。
小腹が空いていたので市場の一角にある軽食を出すスタンドによる。
ハンガリーのソーセージに並んで魚のフライがあった。
ハンガリーには海が無い、魚といえばコイやナマズの淡水魚。
ナマズは淡白な味でなんとか食べれるが、
コイ、しかもコイの切り身のフライとなると泥の味しか感じられず
残念ながらまったく食指が動かない。ハンガリー料理の代表、
パプリカのきいたハラースレーと言う魚のスープなら食べれるのだけど。
海の魚は残念ながら冷凍物、それでも海の魚を選ぶのに躊躇無し。
選んだ魚はハンガリー語で『Hekk』と呼ばれる。
英語では『Hake』日本語ではなんと訳されるのかな?
と思った時はラテン名『merluccius』で調べる。
どうやらそのまま『メルルーサ』と呼ばれているらしい、
タラの仲間の白身魚、体長が50cm〜1mとあるが、
こちらで手に入る冷凍Hekkは体長約20cm〜30cmほどの小ぶりなもの。
揚がったばかりのHekk、はかりに載せてグラム単位でお会計。
付け合せに一切れのパンとスパイシーなチリのピクルス。
指先で白い身をむしりとって口に運ぶ、
パンをちぎって油のついた指をぬぐい口に放り込む。
衣に塩味がきいていて美味。
日本にいたら冷凍の魚に見向きもしなかっただろうが、
海のないハンガリーに住む魚好きにとって冷凍魚はゴチソウだ。
冷凍と言っても新鮮な魚の冷凍なので予想よりずっとおいしい。
でも、別の国で新鮮な海の幸の市場を見ると
涙が出るほど興奮してしまう・・・。
あ〜、釣られたばかりのぴちぴちな魚が食べたい!