今年の夏、ちょうど中欧を熱波が襲っていた頃、
わたしは取材でウィーンにいた。日中40度を超えてたっけ?
あまり記憶が無いほどに強烈な熱気立ち込めたウィーンの街、
旧市街を一日中歩き回って、ふらふらになりながら、
夕方から、また街に出るために、一度ホテルに戻ろうとした帰り道、
一緒に歩いていたプロデューサーさんが教えてくれたパサージュ。
ウィーンへはブダペストから列車で3時間と近い事もあって、
何度も訪れている。でも、ほとんどが仕事で行くから、
同じような場所しか行った事が無かったし、
たま〜に遊びで行く時は、買い物と食べる事が中心なので
旧市街には足を伸ばす事がなかったりもする。
だから、このパサージュを教えてもらった時はうれしかった。
パサージュの中心にある噴水にちゃんと水が流れている、
手入れが行き届いているんだなぁ、と、感心してみたり。
(ブダペストにあったら、ひからびている可能性も・・・)
ウィーンの街は建築好きにはたまらない街だと思う。
古風な建物と世紀末建築、そして奇抜でモダンな建築が
とっても狭い半径内に、混在と言うよりは理路整然と、
折り目正しくみんな仲良く一緒に並んで建っている。
このパサージュ、もうろうとはしていたけど、
なんだか、とても心に残った場所だった、
地元の人からもすごく大切にされているんだと思う。
でも、暑さで名前も場所も覚えていなかったので、
あとからネットで調べたけど…。
入り口の看板に『Bis auf Widerruf gestatteter Durchgang』とある。
Durchgangとは抜け道と言うような意味のドイツ語だと教えてもらった。
この取材、『地球の歩き方』を出している出版社、
ダイヤモンド・ビッグ社から、来年の春に出版される
ウィーンの散歩道をテーマにしたヴィジュアルブックの撮影だった。
掲載予定の散歩道を実際に歩いてみて、ウィーンの街には
素敵なDurchgangや、それに続く中庭がたくさんあって驚いた、
旧市街の中心部には世界中からの観光客が溢れているのに、
ちょっと歩いただけで意外にも静かで、街の素顔が見えてくる小道にでる。
何度も行っている土地でも、新しい事を発見すると
やっぱり、ワクワクする、これって旅の醍醐味だなぁ。